遺言書を作成するということ
今回は「なぜ遺言書を作成するのか」という最も基本的なこと、すなわち遺言書作成の意義について考えてみます。
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遺言書は「最後の意思表示」
相続に関しては民法に法定相続分が定められており、「配偶者には〇分の〇、子には〇分の〇」というように遺産分割割合についてのルールを示しています。
しかし被相続人(亡くなった方)が遺言書を残していた場合には、そこに記載された遺言者の最後の意思表示が可能な限り尊重されます。
つまり、遺言書の記載にのっとって法定相続分と異なる割合で遺産を相続させることも可能であり、たとえば「長男〇〇に全財産を相続させる」とか「金〇〇万円を慈善団体に寄付する」といったことができるのです。
遺言書による意思表示は可能な限り尊重される
手段としての遺言書
上述の観点から考えると、遺言書は個人の意思が法律で定められた事項に優先する数少ないケースを実現する手段であり、とても重要な文書であることに気付きます。
極端な例ですが、
「貯金したいので消費税は払いません」
「先を急いでいるので信号は無視します」
というようなことが許されないことを考えれば、個人の意思が可能な限り尊重される遺言書の意義が、少しお分かりいただけると思います。
遺言書は、個人の意思を法律で定められた事項に優先させるための手段
遺言書で伝える想い
残された家族へのメッセージや生前の思い出などを遺言書に記すこともでき、これも大変意義のあることです。
遺言書に人生の集大成としての想いをまとめて表現することは、家族やお世話になった方々に最後の言葉をささげる方法として適しています。
遺言書作成の意義には、法的効力の発生という点だけでなく遺言者の人生の集大成としての意思表示を表現できる、ということもあるのです。
「遺言書を作成する」ということは、人生の集大成としての意思表示を最大限尊重してもらうということ
まとめ
今回は、遺言書を作成する意義について考えました。
そして遺言書とは、
- 遺言者の生前最後の意思表示であり、基本的にはそれが民法の規定に優先される
- 個人の意思を法律に優先させるための手段
- 人生の集大成としての意思表示を最大限尊重してもらうための文書
であるとまとめることができました。
遺言書を作成しようと思い立った時には、遺言書作成の意義を改めて振り返ってみてください。
「本当に書き残したいことは何なのか」
そのヒントが頭に浮かぶかもしれません。