お客さま事例:飲食店経営者(個人事業者)

7月に申請受付が開始され新聞やニュースでもよく取り上げられていた「家賃支援給付金」。
申請に手間が掛かることや給付実績が伸び悩んでいることも話題になりましたが、給付対象の方には非常にメリットのある制度です。
弊所では家賃支援給付金の申請代行を行っておりますので、気になる点があればどうぞお気軽にご相談ください。
今回は飲食店を経営する個人事業者さまの事例をご紹介致します。
コンテンツ
業種・業態
今回ご相談いただいたお客さま(以下、「A様」といいます。)は、大阪府茨木市内で約30年飲食店(居酒屋)を経営する個人事業者の方です。
申請時には申請者の「業種(日本標準産業分類)」を入力しなければなりませんが、それぞれ、
- 大分類
- 宿泊業、飲食サービス業
- 中分類
- 飲食店
- 小分類
- 酒場、ビヤホール
として申請しました。
一般的に「居酒屋」を経営する方は上記分類に該当すると考えられます。
ご相談内容
具体的なご相談内容としては、

家賃支援給付金の支給要件は満たしているが、申請手続きを代行してほしい
というものでした。
家賃支援給付金の支給要件についてはA様ご自身ですでに検討済みであり、その点については特に当職のサポートは不要でしたが、申請手続きや必要書類に関して家賃支援給付金と類似する点も多い「持続化給付金」申請をA様ご自身で行った際に、非常に時間と手間を取られたとのことで当職に相談するに至ったとのことでした。
持続化給付金申請時には書類不備等で複数回、審査側から連絡があったらしく、

難しい手続きではなかったが、日常営業をこなしながら、細かな点まで注意して書類を提出することに難儀した
とおっしゃっていました。
結果的に持続化給付金の申請から給付までは2カ月ほどを要したそうで、今回は当職に申請代行をご依頼することでその手間を軽減したいとのことでした。
申請準備
持続化給付金をご自身で申請していたA様の場合、重複する書類についてはすでに準備されていましたが、家賃支援給付金に特有の書類をいかに不備なく用意することができるかが重要でした。
すでに準備済みであったもの
持続化給付金の申請時にも求められた、
- 本人確認書類
- 給付金の受取口座情報
- 確定申告書
- 所得税青色申告決算書
- 売上台帳
などの書類はそのまま使用することができました。
一点、本人確認書類については、運転免許証やマイナンバーカードをお持ちでなかったので「住民票の写し+健康保険証のコピー」を提出することに致しましたが、持続化給付金の申請時に使用した「住民票の写し」は3カ月以上前のものであったため、新たに取得し直す必要がありました。
職務上請求書による代理取得
「住民票の写し」は当職が職務上請求書を使用して取得することができるため、相談者さま自らが市役所に出向く必要はございません。
家賃支援給付金申請特有の必要書類
家賃支援給付金申請において必要となる書類には、上記の書類に加えて、
- 賃貸借契約書
- 直近3カ月分の賃料支払実績を証明する書類
などがあります。
賃貸借契約書
賃貸借契約書は、
- 賃借人が申請人名義であること
- 2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効なものであること
の2点をチェックしますが、通常このうち「2. 2020年3月31日時点と申請日時点の両方で有効なものであること」が問題となるケースが多いです。
というのも、家賃支援給付金支給に係る審査においては賃貸借契約書に記載されている契約期間がそのまま契約が有効な期間として判断されるためです。
例えば、賃貸借契約書で
契約期間:2017年1月1日から2018年12月21日まで
と記載されている場合、たとえ契約条項で「自動更新」の定めが明記されている場合でも上記2. の要件を満たさない、と判断されるのです。
自動更新条項は有効か
実務上、賃貸借契約においては契約期間を2年間として特に双方から申出がなければ自動更新、というパターンが一般に定着していますが、今回の給付金支給に係る審査においてはそのような判断はされません。
そのため、文字通り2020年3月31日と申請日の両方が賃貸借契約書に記された契約期間内に含まれない場合は、必ず別途所定の書類(様式5-3 賃貸借契約等証明書)が必要になります。
A様のケースでも、2009年8月1日から2年間の契約期間が賃貸借契約書に明記され、契約条項内「賃貸借期間」において更新することができる旨記載されていました。
そこで当職が、

この契約書だけでは給付対象外となってしまいますので、別途様式が必要です
とご説明した際にはA様も少し納得のいかない表情をされておりましたが、確かに、実務上一般的に利用されている「自動更新」条項が機能しないというのは、いささか理解に苦しむところでもあります。
結局、様式5-3をダウンロードしA様および賃貸人の方に自署していただきました。
賃料支払実績を証明する書類
賃料の支払実績を証明する書類としては、
- 銀行通帳の表紙および支払実績が分かる部分の写し
- 銀行取引明細書(振込明細書)
- 領収書
などを添付する必要があります。
A様のケースは、手元には領収書がなくATMで支払いを済ませたことを証明する「ご利用明細表」が残っていました。
問題は、毎月の支払額に「電気料金」および「水道料金」が含まれていたことでした。
水道光熱費は給付対象外
「水道光熱費」は給付対象外の費用であるため、これらの金額を差し引いた額を別途明示する必要があります。
ご利用明細表の隅に手書きで実質家賃支払額を記載することも考えましたが、実際の水道光熱費がいくらであったかの証明がなされていないとして「不備」になるおそれもあったため、別途毎月の請求書も添付しました。
請求書中の家賃支援給付金対象となる費目(例:家賃、消費税)をマーカーで明示し、さらにご利用明細表の余白部分には、
請求書記載の金額〇〇円の支払明細、うち△△円は水道光熱費のため、差引〇〇円-△△円=■■円の支払を証明します。
と明記しました。
申請手続代行
申請手続きは弊所にて行い、所要時間は約1時間ほどでした。
申請時の所要時間
当日までに面談等で必要書類を入念にチェックしていたため大きな問題は生じませんでしたが、賃貸借契約書を全ページスキャンする等に要する時間は、やはり最低でも1時間はかかるのではないかと思います。
弊所が申請手続きを代行する場合、申請に要するメールアドレスは当職のものを使用致しますので、不備等や給付決定の連絡は全て当職宛てにE-mailが届くことになります。
そのため、何かしらのメールが届き次第、A様にご連絡をするということで当日は終了しました。
結果通知
当初、日頃の報道や他事務所の先生方からお伺いした話を考慮し、何ら書類等に不備がなかったとしても支給まで2カ月ほどを要するのではないかと考えておりましたが、結果的には申請から約1カ月で支給決定のメールが届き、その後まもなくA様から振込確認のご連絡をいただきました。
今回、特に書類の不備等なく比較的迅速に支給がされたことは、ひとえにA様が事前に書類をしっかり準備してくださっていたことの結果と考えております。
当職の役割
当職としましては、賃貸借契約書に別途必要となる書類のご説明や賃料支払実績を証明する書類の作成に、少しでもお役に立てたのではないかと感じております。
家賃支援給付金の申請期間は2021年2月15日まで
家賃支援給付金は支給対象の方にはとてもメリットのある制度であり利用できる方にはぜひとも検討していただきたいものですが、申請期間は2021年2月15日までとなっております(ただし、1月末までに理由を付した申出をする必要があります)。
L2C行政書士事務所では申請期間まで家賃支援給付金申請代行のご依頼をお受けしておりますので、お気軽にご相談ください。
【参照】家賃支援給付金ポータルサイト