専門家がすすめる公正証書遺言のメリット
行政書士などの専門家がおすすめする遺言の方式といえば「公正証書遺言」。
今回はそのメリットを紹介します。
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法的効力を担保できる
公正証書遺言を作成するメリットは何といっても遺言の法的効力が担保されることです。
自筆証書遺言でも法的効力のある遺言書を作成することはもちろん可能ですが、その作成は定められた様式に適応しなければならずある程度の法律知識がなければ難しい点も少なくありません。
一方、公正証書遺言は公証人が作成するため法的に無効な遺言書になってしまうことはまず考えられません。
専門家が公正証書遺言をすすめる理由はまさにこの法的効力の保障という点であり、手間暇かけて作成した遺言書が無効になってしまうという最悪の事態を招かない最善の方法とされます。
公正証書遺言の強みは何といっても法的効力が担保できること
遺言者の負担が減る
公正証書遺言を選択するメリットには負担の軽減という点も挙げられます。
時間や手間を削減
遺言書作成がそれほど身近なものでないことは以前の記事において述べましたが、その理由の一つに遺言書作成の負担が大きいということもあります。
ここでいう負担とは作成にかかる費用や時間・手間などですが、公正証書遺言はそのうち時間や手間についての負担を軽減することができる方式でもあります。
遺言の自筆は不要
自筆証書遺言の場合には基本的に全文「自書」つまり自筆することが求められますが、公正証書遺言の文面は公証人が仕上げますので遺言者はその文案を練るだけで足ります。
多くの場合、行政書士などの専門家が文案も作成しますので遺言者は実質遺言内容が整理できる程度のメモ書きを準備することで十分なのです。
予約をしたり作成日に公証役場に赴いたりなど一定の時間を要することは確かですが、遺言書全文の自書にかかる時間や手間に比べればずっとスリムになります。
公正証書遺言は遺言者の負担を軽減することができる方式でもある
相続人の負担も減る
公正証書遺言はその効力が発生する時、すなわち遺言者が亡くなり相続が開始する時点において相続人の負担を減らすこともできます。
遺言の「探索」と「検認」
自筆証書遺言では一般的に相続開始時、2つの手間がかかります。
「探索」つまり遺言書を探すことと、「検認」という遺言の方式に従った作成をしているかどうかの家庭裁判所によるチェックが必要になるのです(検認については法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用することで不要になります)。
紛失リスクがなく、検認も不要
一方、公証役場で保管される公正証書遺言は遺言検索システムを使えば全国どこからでも探索でき、紛失リスクはまずありません。
また公証人が作成した遺言書なので通常1カ月以上かかる検認手続きも不要です。
探索と検認という相続人の負担を軽減することができるのも公正証書遺言のメリットといえます。
公正証書遺言は遺言者だけでなく残された家族の負担をも軽減する
まとめ
今回は公正証書遺言のメリットを簡潔に紹介しました。
公正証書遺言には、
- 法的効力を担保できる
- 遺言者の負担を減らすことができる
- 相続人の負担も軽減される
というメリットがあります。
費用が比較的高めであるなどのデメリットもありますが、専門家がおすすめするだけの理由はありそうです。